これだけ。
たったこれだけです。
この単純明快なお話を、猛烈な説得力をもって視聴者に叩き付けてくれました。
常に遠眼鏡をかけて相手の心を見透かすエクレールは、同時にその遠眼鏡でもって自らの心(目)を隠していた事も、ラスト近く捨てられたそれを見せる事で感じ取られます。
彼女もまた、家政婦であった環の母より聞かされた、まだ会ったこともない少年に恋する哀しき少女だったのです。
そして「疾走」..2006年09月28日
2006年09月24日
桜蘭高校ホスト部 第25話「ホスト部解散宣言」
終わりが読めてしまうのが少し残念か。
環は自分の我が儘でホスト部の皆がおのおの何かを犠牲にしているのではないか、と悩む。そして「ままごとの家族」ではなく自分と婚約する事で「本当の家族」を手に入れないか、と誘惑するエクレール。
しかし、環に惹かれて集まったホスト部の面々が、仮に何かを犠牲にしていたとしてもそれを根に持ったりする筈は無し。
「家族」にしても、戸籍上の家族になれたとしても、心が通じ合っていなければ本当の家族にはなれない。
それこそ、ホス..
posted by えみりおん at 00:09
2006年09月14日
桜蘭高校ホスト部 第24話「そして鏡夜は出会った」
クローゼット(心)に完璧に押し込まれていた服(葛藤)は、環とつきあい始めてから外に溢れだし、遂には部屋いっぱいにぶちまけられた。
感情を爆発させる事を教えてくれた環。
恐らく女だからという理由だろう、姉は何も期待されずその分、心に余裕を持てた。そんな姉が鏡夜にかける優しさもまた、彼のクローゼットを開くのを手伝った事でしょう。
自分の枠の中で最高の絵を描く。それが正しいと思っていた鏡夜だったが、環と出逢い、枠を飛び出して壁いっぱいに花を描くことが出来た..
posted by えみりおん at 03:27
2006年09月14日
桜蘭高校ホスト部 第23話「環の無自覚な憂鬱」
殿が父親を演じている限り、ホスト部のみんなは安心して馬車に乗っていられる。つまり環がハルヒの事を好きだと口にしない事で、ホスト部内にあるハルヒを巡る争いを表面化させずに、この部は楽しくやっていける。
21話で馨が例えたカボチャの馬車の馭者は、リーダーの責任として馭者を演じていたのではなく、自分がハルヒの事を好きだという事に気づいていなかった、というオチに、馨ならずもこちらまでもひっくり返ってしまった。
何でこんな話を2話も続けるのかな、と思っていたら、ハルヒ..
posted by えみりおん at 02:25
2006年09月14日
桜蘭高校ホスト部 第22話「モリ先輩に弟子入り志願」
基本的にお人好しである殿の、笠野田が頼み込んだのはモリ先輩だ、と助けるのを拒否する筋の通し方。しかしモリ先輩のタスケテオーラを浴びて一転、いつものお人好しモードに転身する件は素晴らし楽しかった。
その後の展開はまあこんな所かな、という感じでしたが、庭園でクサい展開をしている横でションベン小僧がのんびり噴水かましてるのをフレームに入れておくなど、さすがだなぁ、と。
感動的なシーンをベタベタに演出するのはまだまだ。
解っている演出です。
posted by えみりおん at 01:31
2006年09月14日
桜蘭高校ホスト部 第21話「いつかカボチャになる日まで」
相変わらずテンポは良く、前半学級会のシーンなどは、れんげのはっちゃけっぷりもあり、大変楽しめました。
しかし、全体的に見るとお話が行き当たりばったりで、ホスト部の面々がしゃしゃり出てくる辺りも取って付けた感じ。
猫澤先輩に至ってはスタッフも相当持て余している様で、らしくない投げやりな使い方に、正直スタッフに愛されてないな、と感じました。
今まで二人だけの世界に住んでいた双子。馨は委員長を気遣うまでの余裕が出来、光はハルヒに惹かれて行く。
殿がハルヒを..
posted by えみりおん at 00:18
2006年09月11日
桜蘭高校ホスト部 第20話「双子があけた扉」
双子メインの話になると、今回のラブレターゲーム等の様に、非常に残酷なモチーフが多く出てきます。
これはホスト部のシリーズ構成である榎戸洋司さんが同じくシリーズ構成をしていた、「少女革命ウテナ」「忘却の旋律」等にも通ずる所があり、氏の持つ非常に神経質な作風が全面に押し出されている感じがします。
特にウテナなどは奇才、幾原邦彦さんによる容赦ない演出もブースターとなり、トンガリまくった抽象映像ドラマに仕上がっていました。
しかし、このクセの強い暴れ馬の手綱を見..
posted by えみりおん at 19:19
2006年09月07日
桜蘭高校ホスト部 第19話「ロベリア女学院の逆襲」
典型的なドタバタコメディなのですが、本当に良く出来ています。
例えばヅカ部登場の時にさりげなく校舎の屋根の上を回転させる等。この辺センスの無い演出ですと、屋根の上で回るのが笑いどころだ、とそこをドバーン!とアップで長回ししてしまうところでしょう。
しかしこれは「さりげなく」やる所が良い訳で、この辺はコメディやギャグの引き出しが沢山無ければ出来ない余裕。
またそんな中にハルヒの母親に対する想いを入れる等の気遣い。そしてグチャグチャになったラスト近辺、いつも..
posted by えみりおん at 03:45
2006年08月28日
桜蘭高校ホスト部 第18話「チカ君のハニー打倒宣言」
笑わせてくれたと思ったら激しい葛藤と対立。バトルに萌えに信頼…そしてオチ。
いやバランスが最高ですよ。
そして今回もキーパーソンは環。
一見ただの快楽主義に見える環の思想とそのホスト部も、頑なな双子の心を溶かし、利害関係にクールな鏡夜の興味を引かせ、力を持つ者としての責任という重圧からハニー先輩を解き放つ。
勉強をするためだけにこの学園に入った、というハルヒもまた、環の「学園生活を楽しもう」という、このたった一言に、徐々に心を開いて行きます。
..
posted by えみりおん at 13:31
2006年08月07日
桜蘭高校ホスト部 第17話「鏡夜の不本意な休日」
「確かに俺と環は、1ミリも同じ所が無いな」
と台詞では環を否定している様な口ぶりですが、そこで一瞬前髪をハラリとさせ「鏡夜の心が動いた」瞬間を見せています。
この作品においての主人公は、一人はヒロインであるハルヒ。そしてもう一人の主人公は環です。
特にこのスタッフからは、ハルヒよりも環への思い入れを強く感じ、環の元に引き寄せられる様にして創られたホスト部というコミュニティの、その奥深さを感じさせてくれます。
無論、それだけではお話が進みません。そ..
posted by えみりおん at 17:47
2006年07月27日
桜蘭高校ホスト部 第16話「ハルヒと光の初デート大作戦」
神憑っています。
特に演出。
振り向き、カット割り、仕草、全てのタイミングが完璧。とてもじゃありませんが、ここが凄い、とか説明しきれません。
カミナリの伏線がここで効いてくるというのも見事。
ここまで完璧ですと、絶句して語ることが無くなってしまいます。
いやこれぞ映像芸術。
posted by えみりおん at 14:56
2006年07月16日
桜蘭高校ホスト部 第15話「軽井沢さわやかバトル」
ホスト部は基本的にショートコントの連続なので、構成が非常に難しいのですが、今回のようにとても綺麗にまとめてくれると嬉しくなります。
キャラクターを欲張って出し過ぎず、殿、双子、鏡夜に絞り、その中でも特に双子へ微妙にポイントを当てております。
冒頭の寝起きシーン、怪我とそれに対する異常なまでの心配、そしてその二人だけの間にハルヒも入れてやるよ、という言葉。
あの言葉は無論性的な意味ではなく、誰にも入れさせない絆。
僕たちのATフィールド内に来ても良いよ..
posted by えみりおん at 15:53
2006年07月09日
桜蘭高校ホスト部 第14話「噂のホスト部を取材せよ」
演出こそは前回などの五十嵐演出よりは若干弱い感じはありましたが、お話の素晴らしさはダントツで今回の方に軍配が上がります。
締める時は締めるが基本的にお人好しの環が、しかも先輩が二人もいる中でリーダーを務めていられるのは、統率力でも無く、頭が切れるからでも無く、全ては人望だった、という点。
この辺、ウィッチブレイドでの梨穂子ちゃんを彷彿させます。
12話で退院した梨穂子ちゃんを、アパートのみんなが祝福してパーティーを開いてくれたシーンなど、まさにそれ。..
posted by えみりおん at 19:00
2006年06月29日
桜蘭高校ホスト部 第13話「不思議の国のハルヒ」
作画演出の力量は文句なし。
気持ち良く動き、映像にパワーがあり。
ただ、さほど必要とは思えない部分に時間を割いていたり、パロディという部分に足を引っ張られて本領を発揮できなかった感があります。
パロディに限らず、色々な事柄に引っ張られず、自分たちが面白いと思ったモノを真っ直ぐに作って欲しい。
このアニメスタッフにはそれだけの力量があるのですし、ゼロから組み直す事こそアニメ化というものだと思います。
色々と難しいんでしょうが、是非。
posted by えみりおん at 17:28
2006年06月23日
桜蘭高校ホスト部 第12話「ハニー先輩の甘くない三日間」
要所要所でコキッと笑える部分はあるのですが、冷静に見てみると殆どが作画による動きでのソレ。
結構ハズしてしまっている小ネタが辛い。
銛之塚とハニー先輩の微妙な力関係が良いなあ、とか思っていたら、それはギャグでした、みたいなオチ方されてしまってアラアラ。
来週はいよいよ久しぶりに五十嵐コンテ。
ここ数話の鬱積を晴らして頂きたいところです…!
posted by えみりおん at 14:55
2006年06月20日
桜蘭高校ホスト部 第11話「おにいちゃまは王子様」
ここまで作画力を維持できているのは驚嘆。
ただ、お話の方がちょっと…。
元々、当初登場した頃からかなり浮いていた感はあったのですが、いざメインを張ってみるとやはり相当に辛い猫澤先輩。
基本的にコントの連続で、別にそれは悪く無いし今までもやってきた事ではあるのですが、それが猫澤先輩の突破口に繋がらず、霧美を助けに飛び出すに至る説得力に欠けます。
ホスト部の面々も背景で、別にいてもいなくても良い状況。
珍しく今ひとつな回でした。
posted by えみりおん at 11:10
2006年06月11日
桜蘭高校ホスト部 第10話「藤岡家の日常」
最高です。これぞ娯楽アニメの決定版。
もう全部が全部、一部の隙もありません。
コンテは誰かと思って見てみたら…佐藤竜雄さん、大地丙太郎さんと共にギャグアニメ界に新風を巻き起こしたチャチャ組の一人、桜井弘明さん。やはり優れた作品には優れた演出家が集まってくるものです。
この作品の面白い所は、視点がハルヒで無い所です。ハルヒの心理は意識して描かずに隠し、それを取り巻く殿を中心としたホスト部の面々や、今回のハルヒ父の目線で統一されています。
それによりハル..
posted by えみりおん at 23:06
2006年06月02日
桜蘭高校ホスト部 第9話「ロベリア女学院の挑戦」
例えばハルヒがコーヒーを買いに行かされ廊下に出た所で、モブの女の子二人が寄ってくるカットなど、わざわざしっかりと歩いて来ます。
この辺、楽をしようと思えばハルヒの正面を撮した後、カメラをズラして女の子達の立ち静止画を入れてくれば済む訳なんですが、しない。
この様な(ある意味当然なのですが)丁寧な演出は、昨今のアニメではそうそうお目にかかれません。
ヅカ部の皆さんがコスプレしたホスト部の連中を見た時なんか、センスの悪いスタッフならヅカ部の皆さんの顔をしかめ..
posted by えみりおん at 23:45
2006年05月27日
桜蘭高校ホスト部 第8話「太陽と海とホスト部」
初めて「男と女」という事に踏み込んだ回。
それを描くには当然、性についての描写が必要なのですが、生々しくならない様にエグい部分は華麗に避けて通っており、これには恐れ入りました。
それでいて女ならではのズルい部分、例えば今回ハルヒは他の皆には謝ったのに、肝心の環にだけは謝らなかった(謝りそこねた)とか、そんな男女観の微妙なやりとり。下手に服とかひっちゃぶいて即物的なサービス表現をするより、「男と女」について正面から誠実に描いたこの回は高く評価したいもの。
..
posted by えみりおん at 19:34
2006年05月22日
桜蘭高校ホスト部 第7話「ジャングルプールSOS」
今回はシナリオが弱かったですね。
冒頭の回想が流れを切っていましたし、散乱したモチーフが今ひとつ収束されず残念でした。
しかし、私の顔は緩みっぱなし。
一回作品に惚れちゃうといけませんね、ひいき目になって。
このアニメの一番好きな所は上品な所。
ホスト部の男性は全員(その行為は相当ひねくれてはいるが)ハルヒを大切に扱っており、特に殿とかはヨコシマな妄想がよぎるものの、テレと理性でそれを無理矢理否定している辺りが可愛い。
性欲の対象としてギ..
posted by えみりおん at 23:29
2006年05月14日
桜蘭高校ホスト部 第6話「小学生ホストはやんちゃ系」
何が凄いってこのアニメ、とにかく構図が凝っています。
歩いているシーン一つとっても、キャラの心情に沿ったレイアウトをその都度取っており、悲しいシーンでは画面端にキャラを追いやり、迫力を必要とするシーンでは斜めからの構図、と映像力学満載。
雛ちゃんが連弾を断られて「じゃあ、弾きたくなったら言ってね」と言うカットなど、表情自体は笑顔なのですが、顔に射す影で心の寂しさを表現していたり、と素晴らしい心理描写。
(C)葉鳥ビスコ/白泉社・VAP・NTV・BO..
posted by えみりおん at 17:24
2006年05月04日
桜蘭高校ホスト部 第5話「双子ケンカする」
互いを尊重し合っていても、個人を認めて欲しい。
雪の日の女の子(恐らく二人の初恋の相手)には見分けられなかった二人を、ハルヒはいとも容易く言い当てました。
ラストシーンでの目の演技、そして台詞。
彼らがハルヒに恋した瞬間です。
人が人を好きになる瞬間を描く、というのは本当に難しい。恋や愛というものは理屈では計れないもの。
だからこそ、その瞬間を見せてくれる物語というものは、至高の作品なのです。
5話まできて全く乱れを見せないレベルには..
posted by えみりおん at 17:48
2006年04月28日
桜蘭高校ホスト部 第4話「女子マネージャー襲来」
あれだけ濃いメンツの中に更に新キャラ登場とあって、正直大丈夫かいな、とか思っていたのですが、いやいや、取り越し苦労でした。
考えてみたら、あのメインメンバーの中に足りてなかったのは、引っかき回し役。
双子はあくまでサブキャラに徹しなければならないので、無暗に暴れる事は出来ませんし、かといって主人公のハルヒは天然キャラ。同じ引っかき回すでも、彼女の場合は誘い受けにて周囲をまごつかせるタイプ。
れんげの様に、わがままパワーでもってのソレは、確かに必要でしょう..
posted by えみりおん at 04:00
2006年04月19日
桜蘭高校ホスト部 第3話「身体検査に御用心」
後半の医者ネタバレから失速したはものの、Aパートから身体検査のドタバタまでは十分楽しめました。
いやしかしもうハルヒちゃん可愛いよ!
天然の魅力というのを勘違いすると、ただのバカになっちゃう訳で、その辺押さえるべき所を押さえて、しっかり物語の中枢で周囲を(意識せずに)引っかき回すという、この見事な主人公っぷり。
本来はお姉様方視聴者が、ホスト部男性の皆さんに萌えるアニメなんでしょうが、我々男側がハルヒちゃんや、ホスト部男性の皆さんに萌える女生徒達に萌..
posted by えみりおん at 01:28
2006年04月12日
桜蘭高校ホスト部 第2話「高校生ホストのお仕事」
凄い! 下手すると1話よりも面白かったかも!
コンテ誰だと見てみたら「佐藤イチ」? ググってもそれっぽい人は出てこないし、誰の偽名かと悩んでたら友人から佐藤順一じゃないか、との指摘。
あー、そう言われれば。
コーヒーカップに座る奏子のモンタージュなんか五十嵐っぽいよなぁ、でも監督が偽名使う意味ないし…とか思ってたんだけど、考えてみれば五十嵐さんはサトジュンの弟子なんで、芸風が似てたとしてもそりゃ当然。
それともこのカット、原作にあったりして?
..
posted by えみりおん at 02:49
2006年04月05日
桜蘭高校ホスト部 第1話「今日から君はホストだ」
この神憑ったコンテ、何事かと思ったら、五十嵐卓哉さんであったか。
何というか、最近は前情報を遮断してアニメを見るようにしているので、ハルヒが女の子だったと知るに至っては、かなりズギャズャンと来た訳で。
でも観た後で考え直してみると、逆ハーレム物としては至極当然な設定であり、しかしそれを先読みされない様に、少女による嫉妬イジメを入れたりして、結構テクニカル。
あの電球が付く謎モンタージュも、後から考えれば、という面白さ。
これは上手い具合に騙してくれた..
posted by えみりおん at 02:00