2010年08月07日

サマーウォーズ

 ばーちゃん崩御を境に、前半と後半とで180度評価が引っ繰り返ってしまいました。

 前半は実に丁寧かつ情緒的。
 特に電話にて各知人に連絡する栄のシーン。

 OZがどの様なものかも判らない彼女ですが、「言葉」にて人を動かす彼女の様に、強い感動を覚えました。

 そして亡くなる直前に、孫をよろしく頼むと健二に告げます。

告げましたよね?

 で、健二は何をしたのでしょう。

 萌えコスチュームに変身までして、矢面でカードバトルしてる「よろしく頼まれた女の子」の横で応援…?

 さすがにこれには、ぽか〜ん状態でした。

 もちろん健二も主人公らしくオマケ的な危機には計算の才能を発揮するのですが、この才能はドラマ開始時には既に備わっていたもの。
 彼自身が「このドラマ内」で努力して、乗り越えたものではありません

 ラスボスかと思われた侘助もヨワヨワで、心の支えだった栄を失ったあと、葛藤描写も殆ど描かれないまま、ちゃっかり「家族」に入り込んでしまい。

 前半にてあんなにも丁寧に家族というものを描いていただけに、残念。

 そしてその侘助がこちら側に来てしまった時点で、ラブマシーンはただの「災害」になってしまいました。

 つまり、侘助vs家族の人間ドラマを期待していたのに、いつの間にかお涙頂戴の災害救助ドキュメンタリー番組にすり替わっていた、みたいな寂しい事に。

 前半を見て大傑作だと確信しただけに、後半の暴投っぷりに頭を抱えてしまいました。

 これは怪作と呼べるのではないでしょうか。
タグ:細田守
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2010年05月25日

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

わーい(嬉しい顔)

(2009-07-01の記事より)


庵野はやれば出来る子。


 驚いたのは、エヴァンゲリオンってこんなシンプルな話だったんだ、という事。

 お食事会というサブシナリオが追加されただけで、ゲンドウの行動に意味が浮かび上がり、シンジの反逆にも強い意志が見え。
 SDATという小道具をレイが持っただけで、彼女の心がスッと理解出来。

 プロットは殆ど変わりないのですが、説得力とカタルシスが段違い。

 こんなシンプルな事を、テレビ製作当時に思いつかなかったなんて事はある筈が無く、恐らくただ単純に捻くれていただけなんでしょう。

 哲学やら宗教やら心理学やらを無節操に放り込み、無意味に小難しく捻くり回していた旧エヴァンゲリオン。

 何かを成す代償には、トウジの足をもぎとり、隣人を撃ち殺し、とそんな極端な事をしなくても良いんです。

 視聴者が納得できれば良いんだ、という事。

 今回のお話しは、多分中学生でも十分理解出来る作りになっており、良い意味で普通の映画になっていました。

 冒頭でユイのお墓参りから帰る車の中でミサトさんが言っていた「素直になればいいのに」という台詞。
 もうそのまんまですね。

 そして、何とまあ王子様がお姫様を助けちゃいましたよ
 ヒーロー誕生です

 アスカの死は、はっきり描かなかったのでまあそうだろうとは思っていましたが、予告を見て大爆笑。

 この様な余裕は、当時無かったものです。

 ただ、良く解らなかったのは新キャラ。

 次回に続くキーパーソンであるのは間違い無いのでしょうが、全くの単独行動しか取っていなかったので感情移入は出来ず。
 余りに視聴者から突っ込まれやすいアスカとのキャラ被りは引っかけで、眼帯アスカに向けて何か仕込んでいるのか、とか。

 いずれにしても、それは次回の事なので、今回キャラも掴めない状態においては出し過ぎではないでしょうか。

 また、そういう演出が好きなのは解るのですが、「今日の日はさようなら」は蛇足かと。
 クライマックスの「翼をください」一つに絞るならアリなのですが、その前にやっちゃうとインパクトも薄れますし、クドく、あざとさが前に出すぎてしまいます。

 でも、大きく気になったのはそのくらいでしょうか。

 これは誰もが納得する展開ですし、誰もが理解できるストーリー。
 が故に、当時の様な社会現象にまで発展はしないでしょう。

 大体当時がおかしかったんですよ。
 心理学や哲学で混乱させただけで、一般の人があんなに飛びつくだなんて。

 阪神淡路大震災、オウム事件など、社会不安の反映だったのかも知れません。
 頭でっかちは我々オタクだけで良いんですよ。

 一般の流行的には普通の傑作として綺麗にブームは収束して行く事でしょう。
 でも、オタク的、庵野ウォッチャー的には、この作品は別の意味で一つの時代の収束になるのではないでしょうか。
 良い意味で。

 もしかしたらこれを境に、当時のエヴァンゲリオンに影響を受けたとみられるセカイ系とよばれる作品群が勢力を失い、新しい時代が来るかも。

 なんかちょっとワクワクしてきますね。
 いや別にセカイ系に怨みがある訳じゃないデスよ?



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2009年10月20日

サイレント・ランニング(SILENT RUNNING)

ネタバレ有り!

 かなり昔にテレビでちょっとだけみた記憶があり、カルト的な名作との噂もあったので、改めて観てみました。

あらすじ:
 もはや自然を必要としなくなった地球は、自然をドームに入れて土星近辺で保存していた。しかしそれにも破壊命令が。
 自然を愛するフリーマンは命令を無視し、同僚を殺害の上、三体のロボットと共に宇宙へとサイレント・ランニング(潜水艦が所在をつかまれぬよう音を出さないで行動する戦術)するのであった。


 シナリオ的、SF的なツッコミ所は満載。

 貧困も病気も無くなったという地球の生活は、対比として見せたかったと思われますが、恐らく予算不足だったのでしょう、地球側の描写はゼロ。
 宇宙船の中だけでドラマが展開しているので、自然に対する切羽詰まった感覚が殆ど伝わって来ませんでした。

 自然を放棄してしまった地球人のエゴもさることながら、自然を守ろうと同僚を殺し、最後にはデューイ(汎用ロボット)に自然を托して自爆してしまう主人公。

 最初の内は良い奴かと思っていた主人公でしたが、やがて手段と目的を混同して暴走する彼もまた、エゴイスト。

 シナリオ的な粗が色々と見えるので、狙ってそうしたのか、作っている内にこうなってしまったのかは解りません。

 しかし、一視聴者的な解釈で観ると、自然を放棄した地球人のエゴと、自然を護ろうとするあまり何も見えなくなってしまった人のエゴ。

 それらに翻弄された自然ドームとデューイは、やっと全てのエゴから解放された、という解釈も出来ます。

 自然もデューイも物言えぬイノセントな存在。
 彼らが深淵の宇宙へと消えて行くラストシーンはとても美しかった。


タグ:SF映画
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2009年07月01日

ヱヴァンゲリヲン新劇場版:序

 昔、映画館で「まごころを、君に」を見て、猛烈に嫌な思いをさせられたトラウマがあり、私は劇場版に限らずエヴァンゲリオン自体をずっとスルーしていました。

 が、なんか気持ち悪いくらい絶賛の声しか聞こえてこない「破」の噂を聞くに、一応オタクとしてチェックしておかなければなあ、と思い、予習としてこの「序」を見ました。

 基本的な筋は全くと言って良い程変わっていない様ですが、なんか感覚的に感じたのは、当時作品自体に重くのし掛かっていた極端な負へのベクトルが、前向きに修正されていた様に感じました。

 冒頭の「逃げちゃダメだ」のシーンは若干短くなっていた様に感じられましたし、特に当時感じられた脅迫観念的なニュアンスから、自分を奮い立たせるような感じを受け。

 そしてラストのヤシマ作戦で一撃目を外してからの展開は、まだ周囲に支えられてはいるものの明らかにシンジが自分の意志で前に進もうとする、ヒーロー誕生を予感させる方向性でした。

 庵野監督は紛れもない天才です。

 しかし、天才というのは我ら凡人が思っている程うらやましいものでもなく、むしろ理解されない苦しみにもがいていたと思われます。
 そして我ら持たざる者達は、当時パソコン通信や初期のインターネットで繋がる事により、天才に対して別のアプローチで対抗出来る事を知りました。

 視聴者は繋がりによる集合意識の大きさを楯に監督に挑み、監督は監督でよせばいいのに更にそれに対して挑発する形を取り。

 天才というのは頭の回転が速いだけで、別に精神が強い訳ではありません。特に庵野監督はナイーブな方だった様で、長いリハビリが必要だったと思います。

 今思えば我々も、ネット時代初期の仮想的万能感から思い上がり、メチャクチャやってしまいました。
 大いに反省したいところです。

 やがて監督はアニメのキューティハニー辺りでエンターテイメントに徹した作りを見せてくれて、芸術からエンターテナーへと少しずつ移行してるのかな、とは感じました。

 そして今回の「序」を見た時に感じた前向きな感覚と、昔は監督の天敵だったネット上で「破」の絶賛を見るに、ある程度の時間と距離を置いた故、何か良い方向に回ったのでは、という予感がします。

 本日1日、映画の日に「破」を見に行こうと思います。
 感想はまた後で。


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2009年03月26日

劇場版 CLANNAD(クラナド)

 神憑った一期と比べてしまうと相対的にTV版の二期はがっくりしてしまい。
 逆に周囲の酷評を散々聞いた後だったので、視聴ハードルが低めになったこの劇場版は、困った事に楽しめてしまいました。

 出崎氏の「この子なんで死ぬの?」という問いは、TV版を見ていて私も同感でした。
 だからTV版は父と汐との和解で終わっていたらなぁ、と思っていたのですが、劇場版は本当にそこで終わってしまっていてびっくり。

 幻想世界とこちらの世界とのリンクや、街と渚の病気とか、恐らく監督には理解し難い物だったでしょうし、仮にクラナドWikiでも読んでそのロジックが解ったとしても、出崎監督には受け入れられなかったのではなかったか。

 あのお歳になると自分を曲げるのは無理でしょうし、曲げちゃったら出崎じゃないよなあ、と思います。

 作画レベルに関しては、TV版の二期とどっこい、というのが残念。仮にも劇場版なんですから、もう少し良い動きを見せて欲しかった。

 ただ面白かったのはやはりダイナミックな構図で見せる出崎演出。

 人と波が同じショットに映っている時に、人の何倍も高い位置に波を配置する等の、現実にはあり得ない、別々の向きからの視点を同じショットに入れる、ある意味ピカソ的な構図はガンバの頃からの出崎レイアウト。

 また、初登場の公子が春原を払い落とすシーンでは、あくまでカット割りで見せる職人芸。
 これが一期の京アニでしたら、若い力でグリングリンと力業の作画で見せていた所でしょう。

 何と言いますか、これは…
「枯れたクラナド」?(笑)。

 周囲がボロクソにけなしていたので、つい擁護っぽい描き方になってしまいましたが、TV版一期とコレとを並べて観たとしたら、まあこれは誰が何と言おうとTV版の方に軍配は上がるでしょう。

 ただTV版二期の悲しさも相まり、これもそんなに悪いもんじゃないですよ、と言ってみたり。


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2009年03月12日

ダーティーハリー

わーい(嬉しい顔)

 ラストの歩道橋にスラッと立ち上がる細身の長身は、これは男でもゾクっと来るかっこ良さ。
 寡黙でクールだが、心の奥底で悪への激しい怒りが渦巻く。

 何と言ってもクリント・イーストウッドの魅力に尽きます。

 ダーティーハリーと言えばS&W M29と.44マグナムですが、意外やそんなに大きなフューチャーはされておらず、それよりも主役のキャラハンの魅力を描くのにたっぷりと演出を割いています。

 クレーンに載って自殺者を説得(?)するシーンの恐怖と呑気スレスレの演出はお見事。
 このシーンはクリントイーストウッド自らが演出したそうです。

 全体を通して見られる望遠カメラを使っての超ロング撮影や、空撮、夜間撮影など意欲的なカメラワーク。
 「さそり」役、アンディ・ロビンソンの名演技も外せません。

 派手なドンパチに慣れすぎてしまった今の人が見ると物足りないかとは思いますが、その後のダーティーヒーロー物に大きな影響を与えた作品です。


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2009年03月11日

ONE PIECE ワンピース THE MOVIE オマツリ男爵と秘密の島(映画)

 細田作品という事で期待しすぎたか、ちょっとがっくり。
 作画と演出力は申し分無いのですが、ストーリーがかなり微妙でした。

 島へ行く動機も弱いですし、序盤から中盤までのストーリー的なスピード感の無さが致命的。

 原作は読んだことがありませんし、テレビ版も知りませんが、ゾロが少年を日本刀で斬り殺すシーンはさすがにヤバイんじゃないかと思いました。
 少年は不死だったので死ななかったのですが、それは結果論。
 少年漫画において味方のキャラが年端のいかない少年を「殺す」という意志で斬った、というのはまずいんじゃないでしょうか。

 それとも、もともと彼は躊躇無く少年を殺す様なキャラだったのか。

 ちょっとした事で致命的なまでにバラバラになってしまった「仲間」が、敵を倒したら今までのケンカの事を忘れてたかの様な描写。

 ルフィがあそこまでして助けようとしていた「仲間」は、仲間割れをしたまま死んだ様な状態になってしまっていた訳で、彼らはルフィに助けてもらう価値があるのだろうか、と頭を傾げてしまいます。

 くどいくらいに叫ばれる「仲間」という言葉が空しく感じてしまいます。

 演出、そして特に作画のレベルはとても高し。
 作画マニアには楽しいアニメでしょう。


タグ:細田守
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2009年03月08日

ひかりごけ

 実際の人肉食事件を元にした映画ですが、作りは殆ど演劇。

 特に後半裁判所シーンでのチープなセットは、演劇を意識してチープに作ったのか、はたまた本当に技術力不足なのか良く解りませんでした。

 しかし、テーマともなる「光の輪」の余りに情けない合成を見るに、どうも技術力不足の線が濃い気がします。
 マスクが切れていなかったりとか、「光の輪」が出ている最中には合成の都合でしょう、役者がピクリとも動かなくなったりと、1992年の映画とは思えない合成。

 円谷プロに頼めとは言いませんが、もう少し何とかならなかったものでしょうか。

 そんな中、一人気を吐く三國連太郎

 魚の様な目をしてもぐもぐと人肉を生で咀嚼するカットはおぞぞぞぞーっ

 ただこの映画を見終わっても、何か腑に落ちない感覚がずっとあり、それはこの怪演にあったのではないかと。

 だって三國連太郎だったら人肉とか普通に喰いそうなんですよね

 こんな演技を見てしまったら、視聴者が人肉を食べるというのはどういう事かとか考えたり、自分ならどうするかとか葛藤したりする前に「三國なら喰う!」と納得してしまいます。

 そんな自分に、いや納得しちゃいかんだろ、とセルフ突っ込みしちゃいそうな。

 なんかこの人がテーマから何から全部持ってっちゃった感じが。

 怪作です。


タグ:邦画
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2009年02月11日

スピード・レーサー(映画)

わーい(嬉しい顔)

 「マトリックス」は凄いとは思ったのですが、あのピリピリした世界観が苦手でちょっと敬遠。
 しかし、こちらは猛烈に楽しかった。

 「ブレードランナー」や「AKIRA」が出始めた頃から科学というものに対しての夢がネガティブな方向に流れ、未来を描く映画のほとんどが陰鬱であるかもしくは大きな問題を抱えなければならなくなってしまった感があります。

 しかしこの映画、夢でいっぱいです。
 それは夢をリアルに描くのではなく、マンガの延長線上としてパラダイスとして描く。
 それがこの映画の成功だと思います。

 登場人物達の殆どには深みがありません。
 活劇の邪魔になるからです。

 スピードの邪魔をするレーサーは、どんな経緯でレースに出場しているかとか、彼らに守るべき家族があるのか、とか、そんなのは一切出ません。

 彼らは「ワルモノ」という記号なのです。

 ドラマにメリハリを付ける為にスピードは悩んだりもしますが、ぶっちゃけ大した事じゃありません。

 この映画はレースにて「イイモノ」が「ワルモノ」を叩きつぶす。

 正義は必ず勝つ!

 テーマはただそれだけ。
 見事なまでにシンプルに仕上げています。

 しかし、テーマこそは単純化していますが、映像の凝り様はハンパじゃありません。

 この映画にてメインで使われている人の顔を使ったワイプ処理。
「カット割り」というのを殆ど使わず、この顔ワイプで殆どのカットを繋いでおり、それは回想シーンなどの時間飛ばしや舞台飛ばしを効果的に繋げ、気持ちを途切れさせる事がありません。

 恐らく元々は車、運転手の顔、レースの状況、観衆など、位置的に離れすぎたパーツを繋げるためのアイデアだったのかと思われますが、これが思いのほか映画全体に流れを作っており、大成功だったのではないかと。

 人によっては映像酔いを起こすかとは思いますが、私はガンガン引き込まれました。

 まあ唯一難点を言えば、主役がダイコンだった上に吹き替えの声まで…という事でしょうか。
 ついでにヒロインの吹き替えも…。

 先にも述べましたが、これは一応実写の形をとっておりますが、マンガなんです。寓話なんです。
「ああ、この『役者』が演じている、声をあててる」と引き戻された時点でアウト。
 このマンガ映画には、リアルさなど誰も期待していません。

 …もう我々がどう言ってもしょうがないですか?

 エンディングの曲は、アニメ作品へのオマージュがバンバン詰め込まれていて、最後の最後まで楽しませていただきました。
 庵野実写ハニーに影響されただろ、みたいなカットも散見され、笑っちゃうシーンも多くあり。

 楽しい映画を観て元気になる。
 嬉しいものですね。




タグ:洋画
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2009年02月04日

街の灯(映画)

わーい(嬉しい顔)
ネタバレ注意

 ボクシングシーンの完成度やら一瞬で状況が解ってしまう神業的なカメラワークなど、色々語りたい事は山ほどあるのですが、伝説のラストシーンに絞りたいと思います。

 チャップリンの人間観察、人間描写の凄まじさをまざまざと見せつけてくれたラストシーン。

 一目惚れした盲目の花売り娘の為に、金持ち紳士のフリをして献身的に尽くすチャーリー。
 そして紆余曲折を経た上で、大金を娘に渡し、自分は無実の罪で牢獄に入れられてしまいます。

 そのお金で手術をした娘は、目も見える様になり、同じく大成した花屋で、あの時のお金持ちの紳士が現れるのを待ち焦がれていました。
 そうとは知らず、身も心もボロボロになってシャバに出て来たチャーリーは偶然娘と目が合ってしまいました。

 驚くチャーリー。
 娘は「私に気があるようよ」と笑いながら、チャーリーに花と小銭を恵もうとします。

 そして花を渡した時、その手の温もりから娘は気付きました。

「あなただったのですね?」

 そしてこの時、チャーリーはつい「見える様になったんですね」と応えちゃうんですね。

 格好悪い。

 ここでチャーリーが「いや、人違いでしょう」とか言って去れば美しい感動物語で終わった筈です。
 二流のシナリオライターならそうしていたでしょう。

 しかし彼は恐る恐る、僅かな期待を込めて正体をバラしちゃうんですよ。

 最高に格好悪い。
 でも、これが人間の弱さなんです。


 同様に娘も決して聖人ではありません。
 このみすぼらしいルンペンが、自分が待ち焦がれていたお金持ちの紳士だったんだと知ったときの、幻滅と驚愕の表情。

 チャーリーは、恥じ入る様な、でも心の奥底で期待している様な、切ない笑顔を見せます。

 ここで映画は終わります。

 娘はチャーリーの事を受け入れたのか。
 二人はその後幸せになれたのか。
 一切語られません。

 この余韻があったからこそ、70年経った今でも語り継がれる名作として君臨しているのです。

 この映画が作られた頃、映画はトーキー(音付き映画)に流れていましたが、チャップリンは敢えてサイレントに拘りました。

 台詞が無いからこそ伝わるものがある。

 最高のシナリオとは無言である
 というのを本で読んだ事があります。

 それはまさにこのラストシーンにおける二人の、特にチャーリーの表情に集約されているのです。

 人間とは何と滑稽で、愚かで、切なくて、そして素晴らしいものか。

 それを教えてくれる映画です。


タグ:洋画
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2009年02月02日

A.I.(映画)

ネタバレ注意

 一見感動モノの様に見えますが、見終わって何とも言えない気持ちの悪さが残りました。

 と言うのも登場人物がみんなしてエゴを押し付けるばかりなのです

 母親もそう、ロボット製作会社の社長もそう。

 そして主人公のデヴィッドが極めつけで、ラストで1日しか寿命が持たない母親のクローンを作ってもらって、一緒に永久の眠りにつくという。

 また、大将軍ガルーダの悲劇はまあ偶然としても、キカイダーの兄弟殺しは相当影響受けてそうですし、ロボットサーカスまでの流れは鉄腕アトムそのまんま

 オマージュにしても全体的に相当趣味に走っており、あれもやりたいこれもやりたいとフラフラしていて、映画としての統一感はかなり薄い感じです。

 タイトルの「A.I.」も、恐らく「愛」の含みでしょう。

 「未知との遭遇」で家族を捨ててアッチの世界に逝っちゃった主人公を描いたスピルバーグ。
 監督の求める「彼岸への憧れ」というのはこの作品でも一貫しており、その意味では、とても「らしい」映画かと思いました。



タグ:洋画
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2008年12月13日

「Mr.インクレディブル」(映画)

わーい(嬉しい顔)

 大傑作でしたがその地味な内容で興行的には失敗してしまったアイアンジャイアント。
 それを製作したブラッド・バード監督が、今度は誰が観ても楽しめる超娯楽大作を放ちました。

 ディズニーらしく家族愛がテーマで、単純で痛快なストーリー。
 しかし私は、敵役のシンドロームの方に心が寄っていました。

 表面的には痛快なヒーロー物なのですが、その奥底には別のテーマが潜んでいます。

 少年時代のシンドロームはインクレディブルを信奉する、ストーカーに近いファン。
 彼は、遊び気分でインクレディブルのパートナーになろうとしたのを、人命救助で忙しかった彼に邪険にされた過去を怨んでおり。
 そして、そのねじ曲がった愛情は、やがて彼の心を確実にむしばんでいきました。

 シンドロームはその悪魔的な頭脳で学習型殺戮ロボットを造り、そのデータ収拾の為に過去のヒーロー達を虐殺。
 そしてそれを街に放ち、自分がそれを(インチキで)壊す事により、スーパーヒーローになろうとしていました。

 クライマックス付近にてシンドロームは、歳をとってスーパーヒーローに飽きたらこの発明を売って誰もがヒーローになれる様にしてやる、と言います。

「みんながスーパーヒーローになったら…?
…スーパーヒーローはもういらない…!」

 自己矛盾を抱えた心に、ねたみ、ひがみ等の負の感情が渦巻き、それは既に救いようのない程に膨れあがっていました。

 ああ、悪というのはこの様にして「造られていく」んだな、と。

 ラスト、彼は事故とはいえ絶命します。

 スーパーヒーローに憧れインクレディボーイを名乗っていたあの時に、誰かが彼を助けてあげられていたら…。

 インクレディボーイは大人になりシンドロームを名乗り、人を殺しました。
 もう「子供だから」では許されないのです。

 制作はピクサー。ディズニーの3D映像部門です。
 よくあの保守的なディズニーが、シンドロームの死というモチーフを受け入れたものだ、と驚きました。
 ブラッド・バード監督の熱意だったのでしょうか。

「やっぱりああでなきゃ、昔みたいに」
「あぁ〜昔は良かったですねぇ」

 ラスト近く、語る老人のその一言だけに八奈見乗児さんと滝口順平さんを連れてくる辺りの配慮は、ちょっと微妙だった主役陣の声を相殺してくれました。

 良い映画を観た後は、なんか嬉しくなりますね。






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2008年07月20日

時をかける少女

わーい(嬉しい顔)

 録画したのを感想書きながら見てたんですが、途中からもうそんな余裕無く。
 最後はもう、いい歳したオヤジが顔面から体液ダラダラ垂れ流してました。

 最後にアニメ観て泣いたのって、アイアンジャイアント以来。Airでもちょっと泣きかけたけど、ここまでボロボロには泣かなかったな。

 私の稚拙な感想をいくら並べても無駄。
 一回この作品を観れば、全てが伝わる。
 …でも、アニメレビュアーなら書かないといかんのだろうなあ…。

 アバン、上昇する球と「上、上」という声から、球が落ちてくる心の準備を我々はさせてもらっていたのに、その絶妙なタイミングでビクッとさせられ。

 この時点でもう、「このアニメには敵わない」と感じました。

 プリン食べちゃった事で自殺しようとかお姉ちゃんにしがみつき、外に出た真琴をいつまでも二階で見ている美雪が可愛い。
 そして真琴が振り返り、二人同時に手を振る描写で、この二人の心がいかに通い合っているかが感じられる説得力。

 説得力なら続くタイムリープの描写。

 そんな事できっこない、と言わせながら画面奥に引っ込ませませていますが、沢飛びで遊ぶ子供達を見せていたので、予兆は感じられます。
 そして次には、何とダイナミックな事に、奥からまた真っ直ぐ突っ走ってきて、気合いもろとも沢飛びと共にタイムリープします。

 デジタル時計、沢飛び、そして力の限りのジャンプ。
 理論は解りませんが、これならタイムリープしてもおかしくない、という映像の説得力。

 極めつけはプリンを食べながら

「美味い! 美味い!
…あたし、飛べんじゃん!」

 人間は美味しいモノを食べている時、幸せを、そして生きている事を実感出来ます。
 プリンを食べてその味覚の快楽から、「今のは夢じゃない」と確信する。
 実に美味い…いや、巧い演出です。

 その後の調子に乗った真琴の一連は腹を抱えて大笑い。

 しかし夕日に大笑いする真琴の側で、少年の沢飛びは跳ねていませんでした

 そんな中、占いとは言え「今日しかない」日に告白する女の子や、どれみにもあった二叉分岐の道などの様々な時間に対するモチーフ、モンタージュが挟み込まれ。

 そして何気なく班を交代した高瀬から、ゆっくりとですが確実に、時は別の方向に動き出し、真琴はその場しのぎのタイムリープではどうにもならない事だらけだ、という現実を叩き付けられます。

 SFなどでこのテーマに直面すると、運命は絶対に変えられない、という不文律に縛られてしまいます。実際SF的に考えればその通りですし、時は二度と戻らない、というテーマはある意味道徳的にも犯しがたい部分であり、保守的とも言えます。

 しかしこの作品ではそれを十二分に踏まえた上で、「あきらめるな、チャンスはどこかにある。それを掴め」という前向きなメッセージが加えられています。

 これはご都合主義に受け取られてしまう恐れもあり、とても勇気のいる決断だったと思います。

 この作品がテレビで、しかもこんなゴールデンタイムに放映出来たというのは、非常に大きな意味があるでしょう。

 本当に、モノを創る仕事というのは素晴らしい事です。



時をかける少女
タグ:細田守
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2008年05月03日

ルパン三世 カリオストロの城(映画)

わーい(嬉しい顔)

 オタクに成り立ての当時は通算50回くらいは見てたんですが、さすがに一時期飽きて、ここ10数年まともに通して見ていませんでした。

 で、改めて見るとおいおい、というツッコミ所が結構あり。
 完璧に見えたこの映画も、決してそうでは無い事を再認識した次第です。

 ルパンとクラリスが初めて合った時、気絶したルパンにクラリスが手袋を外してそれをハンカチ代わりにする、というシーンでは、いくらなんでもその時指輪が一緒に取れてしまった事に気付かなかった、というのは無理がありすぎ。

 薬を飲まされて自失しているクラリスの描写で、瞳孔を消す、というのも、宮崎アニメらしからぬ凡庸な演出でがっかり。

 ただ、だからダメ、という事では当然無く、当時は神聖視までしていたこの作品も、人間が作ったものなんだ、という事をやっと理解出来た、という感じです。

 もう何十回も見てるんですが、未だにカリオストロジャンプとかドキドキワクワクしますし、宇宙中継で偽札工場を暴く銭形と不二子のコンビネーションは痛快。

 ラストのクサすぎる台詞も、それをクサく感じられない演出が素晴らしく、アニメ史に残る名シーンです。

 10年、20年、間を空けて観たいアニメですね。



ルパン三世/ルパンVS複製人間(クローン)MUSIC FILE
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