
(2009-07-01の記事より)
庵野はやれば出来る子。
驚いたのは、エヴァンゲリオンってこんなシンプルな話だったんだ、という事。
お食事会というサブシナリオが追加されただけで、ゲンドウの行動に意味が浮かび上がり、シンジの反逆にも強い意志が見え。
SDATという小道具をレイが持っただけで、彼女の心がスッと理解出来。
プロットは殆ど変わりないのですが、説得力とカタルシスが段違い。
こんなシンプルな事を、テレビ製作当時に思いつかなかったなんて事はある筈が無く、恐らくただ単純に捻くれていただけなんでしょう。
哲学やら宗教やら心理学やらを無節操に放り込み、無意味に小難しく捻くり回していた旧エヴァンゲリオン。
何かを成す代償には、トウジの足をもぎとり、隣人を撃ち殺し、とそんな極端な事をしなくても良いんです。
視聴者が納得できれば良いんだ、という事。
今回のお話しは、多分中学生でも十分理解出来る作りになっており、良い意味で普通の映画になっていました。
冒頭でユイのお墓参りから帰る車の中でミサトさんが言っていた「素直になればいいのに」という台詞。
もうそのまんまですね。
そして、何とまあ
王子様がお姫様を助けちゃいましたよ。
ヒーロー誕生です。
アスカの死は、はっきり描かなかったのでまあそうだろうとは思っていましたが、予告を見て大爆笑。
この様な余裕は、当時無かったものです。
ただ、良く解らなかったのは新キャラ。
次回に続くキーパーソンであるのは間違い無いのでしょうが、全くの単独行動しか取っていなかったので感情移入は出来ず。
余りに視聴者から突っ込まれやすいアスカとのキャラ被りは引っかけで、眼帯アスカに向けて何か仕込んでいるのか、とか。
いずれにしても、それは次回の事なので、今回キャラも掴めない状態においては出し過ぎではないでしょうか。
また、そういう演出が好きなのは解るのですが、「今日の日はさようなら」は蛇足かと。
クライマックスの「翼をください」一つに絞るならアリなのですが、その前にやっちゃうとインパクトも薄れますし、クドく、あざとさが前に出すぎてしまいます。
でも、大きく気になったのはそのくらいでしょうか。
これは誰もが納得する展開ですし、誰もが理解できるストーリー。
が故に、当時の様な社会現象にまで発展はしないでしょう。
大体当時がおかしかったんですよ。
心理学や哲学で混乱させただけで、一般の人があんなに飛びつくだなんて。
阪神淡路大震災、オウム事件など、社会不安の反映だったのかも知れません。
頭でっかちは我々オタクだけで良いんですよ。
一般の流行的には普通の傑作として綺麗にブームは収束して行く事でしょう。
でも、オタク的、庵野ウォッチャー的には、この作品は別の意味で一つの時代の収束になるのではないでしょうか。
良い意味で。
もしかしたらこれを境に、当時のエヴァンゲリオンに影響を受けたとみられるセカイ系とよばれる作品群が勢力を失い、新しい時代が来るかも。
なんかちょっとワクワクしてきますね。
いや別にセカイ系に怨みがある訳じゃないデスよ?
posted by えみりおん at 11:09
|
Comment(4)
|
TrackBack(0)
|
映画レビュー
|

|