第1回目は、ARIA The ORIGINATION をお送りします。
新居昭乃さんによる「金の」という歌い出しがとても素敵な曲。
そしてその歌に負けないドラマチックな展開を見せてくれるEDアニメです。
ちょっとストレート過ぎかな、と軽く思いますが、歌詞とのシンクロがとても綺麗なコンテ。
「金の波」
波紋の拡がる波の近景から
「岸辺に」
アリアカンパニー? の岸辺を遠景で見せ、アップとロングでメリハリを。
「憧れ目覚めるの朝に」
美しいガラス細工と、その虹色の光で目覚める灯里のアップを重ねます。
ここで上手いのは、窓に置かれたガラス細工の逆光の眩しさで目覚める灯里を、目や手の演技でとてもゆっくりと描いている事。
何が起きてるのか理解出来れば良い、という焦った作りにはなっていません。
そしてそんな中にもアップだけの単調な絵面ではなく、ベッドをロングで捉えるショットも挟み、視聴者を飽きさせない画作りになっています。
「かかげた手の平に」
その眩しさを手で遮ろうとして、灯里の目が一瞬軽く見開き、何かがある事に気付く。
「愛が止まる」
灯里目線で、指の隙間からガラス細工が見えますが、この時まだ寝ぼけているのでカメラのフレームを揺らしています。
次に映る波紋は、冒頭の波紋、そしてサビの同フレーズと同じ素材、言わば予算削減の為の使い回しですが、この3カットはどれもトリミングと位置ずらしにより違う印象を受けるように工夫されており、この辺が商業と芸術性との折り合いの巧さ。
その光の美しさに見とれながら、こんな素敵な贈り物をしてくれたのは誰だろう、と思い巡らす灯里。
そして左から思い当たる人々顔が流れて来るのですが、その流れが
アリシア>藍華>晃>アリス>アテナ
という可能性の順列がいかにもらしくて、ちょっとここは笑いどころでもあります。
風見鶏が、プレゼントをくれた人はこっちですよ、と下手を指し、窓越しにその下手を見て微笑む灯里をパンUP。
そしてパンUPで盛り上がった気持ちを、今度はパンDOWNでゆっくりとおろすと、そこには超ロングでゴンドラを漕ぐ人影。
間違い無くアリシアなのですが、ここでアリシアの顔を見せて確定しまうとベッタベタになり、台無しに。
「きっとアリシアさんなんだろうな」という灯里の「想い」で留めているので、より詩的な美しさが増し、余韻を残す訳です。
アニメのOP&EDというのは1分30秒の芸術。
時間を見つけて、また色々と語らせて頂きます。
歌詞の一部引用は批評、研究目的です。
【CD】金の波 千の波/新居昭乃