素晴らしい出来です。
この様なドタバタコメディの回であるにも関わらず、しっかりと前後に学校の描写を入れて、現実生活との地続きを意識させ、ジュン達の「遊び」が人間的な成長へと繋がっている事を、笑いと共にしっかりと視聴者に伝えてくれています。
まずドタバタに関しては、キャラ立ちがこの上なくくっきりとしており、最初の一投(いちごチョロマカシ)を投げ入れただけで、次々と雪崩のようにキャラ達が動いて行く様は痛快です。
濡れ衣を着させられた雛苺、「いやうてゃう…たゃうぅ〜いぃ〜」と、ボキャブラリーの少なさから反論も出来ず唸るしか出来ない辺り、スタッフは子供の行動とかをしっかり観察してるなあ、とか関心してしまいます。
しかし今回は特に翠星石の毒舌ひねくれっぷりが滅茶苦茶楽しくて、トラブルメーカーとして最強のキャラ立ちを見せてくれています。
我関せず、大人の余裕を見せていた真紅が、くんくんを見て豹変する辺りも楽しい。
そして、このドタバタは家族ゲンカのそれです。
のりの「みんな仲良く一緒にご飯よ」という言葉がそのままテーマとなっています。
今までお姉ちゃんとの二人暮らしで、甘やかされるだけだったジュンに、手のかかる妹が出来て、お相手してあげなくてはならなくなったのだ。
「そろそろ仲直りしたらどうだ?」
「そうか…こいつケーキ食べてなかったからなぁ」
他人に対して折れる事を雛苺に提案し、また弱者を護る心が芽生えゆくジュン。
ちょうど今読んでいる本がありまして、ロバート・フルガムの「人生に必要な知恵はすべて幼稚園の砂場で学んだ」ですが、まさに今回の話はコレです。
家の中という砂場で陣取り合戦をして遊んでいるジュンくん達。一見馬鹿馬鹿しい遊びの中で、彼らは絆を深め、人を思いやる心に気づき、社会の仕組みや生きていく為の駆け引きを学ぶのです。
買い物の帰り、のりはグラウンドで元気に遊ぶ少年達を見かけ、心を痛める。そしてそこに水をあげすぎて咲かない花を見かけます。
「お水はあんまり沢山でもダメなのよ。種がダメになっちゃうわ」花に水をあげすぎていいた女の子にかけた言葉、それは前回のりが翠星石に言われた台詞そのまま。
そしてのりは花の種を持ってくる。「お花だって、お友達がいっぱいいた方が楽しいものね」
弟を甘やかし過ぎているとダメになってしまう。
また、自分一人ではなく、ドール達という家族がいてくれたら、ジュンくんはきっと心を開いてくれる。
のりもまたドール達と暮らすようになって、より優しくなり、そして時には厳しくする事を知るのです。
ドタバタコメディとしてしても、成長物語としても、一級品のお話でした。
真紅のクンクンへの反応は、原作にあるのかもしれんけど良質ギャグとは言いにくい。
ギャグは立つ所の前提が確固であって、それを崩すなりそらす事で成立するものだから。
7話以降はアニメオリジナルになるそうで、そこからが勝負でしょうね。