仮面のメイドガイ 第４話「ヒモとボイン」

　エロコメの良作というのは結構少なく、失敗作の殆どがヒロイン達にセクハラする側の人物設定に問題があり。

　主人公男性がヒロイン達に襲いかかる系が基本ではあるのですが、主人公とは視聴者男性の投影であり、それが鼻の下を伸ばしながら下品にセクハラする、というのは実に見苦しく、かつ「俺はこんな下品じゃないぞ」と、観ている側はプライドを傷つけられる訳で。

　ならばと次に登場したのが、超鈍感主人公。

　ヒロイン達が猛烈にアプローチしてくるのに、それに気付かず、もしくは興味をしめさず、女の子達が空回りするタイプ。

　しかし、このタイプには致命的な欠陥があり、その設定故、主人公が完全に受け身状態となり、ドラマを全く牽引出来ない結果となります。

　次なる主人公は、セクハラは別のキャラに任せ、自分は良識をもってそれを制する、というタイプ。
　そしてセクハラする別のキャラも、男ですとやはり見苦しいので、人間以外のモノ、若しくは女の子にしてかわします。

　みくるちゃんにセクハラするハルヒと、それを制するキョン、という図式がこれに当たり、これなら視聴者側も自分はセクハラを制する紳士なんだと、プライドも保て、それなりに成功しています。
　ただこれですとセクハラするのが主人公ではないので、女の子達が恥ずかしがっても、自分が影響を与えたという達成感があまり無いのです。

　そしてこのメイドガイ。

　コガラシは「結果的に」セクハラをした事になっていますが、彼自身にはセクハラをしているという意識は全くありません。
　それどころか、度の過ぎた手段や破天荒な行動で騙されていますが、彼は極めて常識人であり、性欲ゼロの健全な精神（？）すら持っています。

　更に言えば、性格や行動に歪みがあるのは実はなえかの方で、コガラシは彼女の起こしたトラブルをおさめる、トラブルシューターの役割を担っているのです。

　しかしその手段がメイドアイだの何だのと突拍子もないものばかりなので、トラブルをおさめる為にトラブルを使う、という、まさに毒をもって毒を制す構図。
　これは、うる星やつらの面堂終太郎がトライしたはものの、時代が早すぎて惜しくも失敗してしまったものです。

　結果、紳士な心でもってダメヒロインを教育する、という名分のもと、ハチャメチャな行動で「結果的に」ヒロイン達を辱める、という、ある意味エロコメを極めたかな、というナイスな設定。

　コガラシというキャラは、こうありたいけど現実にはなれない、という視聴者が憧れる対象として、申し分ありません。

　これだけ世界をしっかり作り込んでおけば、あとはリトマスを放り込めば勝手に転がってくれます。

　設定というのは重要だなあ、と思い知らされる作品です。



仮面のメイドガイ　コガラシ＆なえかセット《発売済・取り寄せ品》