アバンからワラワラと居たカモメ達は、アリスが船を漕ぎ出してから一斉に飛び立ち。
その方向はこの1話を通し、下手(画面左)から上手(画面右)へと、完全に演出のコントロール下に置かれています。
カモメの群れを誘導するかの様に、下手から上手へアルファベットがめくれて行く「ARIA」のメインタイトル文字。
サビである「まるでスピラーレ」の「レー」と伸ばす、曲の一番の聞かせ所で、カモメの一羽をアリシアの上手で滞空させ、タメを作る演出。
そして、アテナがネタバラシをする作品のオチ。
バストショットからカメラがゆっくりと引き、アリスがキョトンとした顔をすると同時に、今まで下手から上手に統一されていたカモメ達の移動は、ここで初めて上手から下手へとストーンとオチて行きます。
下手には弱いもの、上手には強いものを配置する。
下手から上手への移動は、始まり、強い意志、困難、などの意味があり。
同じように上手から下手への移動は、安定、敗北、収束、などの意味があり。
映像演出というものを綺麗にこなしてくれております。
勿論そんなのは一端に過ぎず、今回もまたキレの良い演出、そして尻上がりに良くなって行く作画の良い仕事が光り。
うっかりアリア社長の名を口にしてしまった時、それを見抜いたアリシアの表情を見切れで隠す巧さ。
そのアリシアの「程ほどにしとけよ」という無言の圧力に耐えきれず、これもまたポロリと溢してしまう「なあに…アリシアちゃん」というシーン。
そんな腹黒アリシアが「私の事で不安になったりします?」と灯里に問われ、「ナイショ」とそっぽを向くカット。
アリシアの赤らんだ顔の、その絶妙な隠し方。
「見せない演出」が実に小憎らしい。
作画も動きが素晴らしいだけでなく、動いている訳でも無いのに不自然に制服のスリットをめくらせて足をみせているエロさとか、なかなか笑えます。
今回は文句の出ようがありません。
サトジュンの息子達。
素晴らしい演出家さんが育っております。
【トイズワークス】ARIA第4弾 アリス・キャロル ※まぁ社長付き