嬉子と巽を描けばそれしか描かず、巽の会社を描けばそれだけ、学校を描けば…。
全てが近視眼的な構成で、それらを1本のドラマとして作り上げよう、という気概が(スキルが?)感じられませんでした。
主人公である巽は、枷にもなる事も出来なければキーにもなれず、ぶっちゃけそこにいるだけ。主人公としては完全に失格です。
また、ヒロインである嬉子の描き方も妙な違和感がありました。
昔、超時空要塞マクロスというアニメがあり、そこでは当初ヒロインをリン・ミンメイとして設定していたのですが、実はそれはミスリードで、ミンメイは本当のヒロイン早瀬未沙の噛ませ犬だった、というトリッキーな事をやっており、今回の嬉子もそれに相当し、さやかが真のヒロイン、という形に持って行くのだろう、と予想していました。
…で、ないと劇中でさえ他のキャラから非難ごうごうの嬉子がヒロインの座に収まっている事に理由がつきません。
しかしどうも、そこまでも考えられていなかった様です。
結局、序盤から中盤にかけて丁寧に描かれていた(と見えていた)ワンダーランドの現実世界はリルムにすり寄る事なく、今回のラストで思い出したようにキャラが顔出しして終わり。
この様な作品は例え失敗したとしても、何をやりたかったのか、という事くらいは伝わってくるものなのですが、正直、何をしたかったのかさっぱり解りませんでした。
久々に、時間を無駄に過ごした、という気分になりました。
いや、残念。