前半、雨の中を追われる景色は灰色で、どんよりとした不安感と緊張感が漂っていましたが、明けて真昼の道中となりますと、その美術の美しい事。
草木の緑、萌ゆる黄色、陽の白、空の蒼、夕日の朱。緑に囲まれた自然の中でのみ映えるこの強烈なコントラスト。
現代ではもう殆ど感じることが出来なくなった自然の息吹がここにあります。
アニメーション的な絵も、熱気に当てられた神奈が頭から水をかけられた時のふにょふにょした動き、「訝しく思いましたので念のために、と」と話す時の裏葉のさりげない眼光など、やはり一流。
前半の「殺さずの誓い」。その部分だけを見ると神奈の子供っぽい世間知らずさが強調されており、またあのシーンでの都合の良い神奈の登場に正直ちょっと眉をひそめてしまったのですが、ラスト近く回想シーンでの神奈の裏の行動を見させられるに、全て納得させてしまう脚本の妙。
8話「なつ〜summer〜」や9話「つき〜moon〜」でくすぶっていた不満感が、やっと解消される、この特別編。
あざとい引きにちょっと笑ってしまい、また次回が楽しみです。