録画したのを感想書きながら見てたんですが、途中からもうそんな余裕無く。
最後はもう、いい歳したオヤジが顔面から体液ダラダラ垂れ流してました。
最後にアニメ観て泣いたのって、アイアンジャイアント以来。Airでもちょっと泣きかけたけど、ここまでボロボロには泣かなかったな。
私の稚拙な感想をいくら並べても無駄。
一回この作品を観れば、全てが伝わる。
…でも、アニメレビュアーなら書かないといかんのだろうなあ…。
アバン、上昇する球と「上、上」という声から、球が落ちてくる心の準備を我々はさせてもらっていたのに、その絶妙なタイミングでビクッとさせられ。
この時点でもう、「このアニメには敵わない」と感じました。
プリン食べちゃった事で自殺しようとかお姉ちゃんにしがみつき、外に出た真琴をいつまでも二階で見ている美雪が可愛い。
そして真琴が振り返り、二人同時に手を振る描写で、この二人の心がいかに通い合っているかが感じられる説得力。
説得力なら続くタイムリープの描写。
そんな事できっこない、と言わせながら画面奥に引っ込ませませていますが、沢飛びで遊ぶ子供達を見せていたので、予兆は感じられます。
そして次には、何とダイナミックな事に、奥からまた真っ直ぐ突っ走ってきて、気合いもろとも沢飛びと共にタイムリープします。
デジタル時計、沢飛び、そして力の限りのジャンプ。
理論は解りませんが、これならタイムリープしてもおかしくない、という映像の説得力。
極めつけはプリンを食べながら
「美味い! 美味い!
…あたし、飛べんじゃん!」
…あたし、飛べんじゃん!」
人間は美味しいモノを食べている時、幸せを、そして生きている事を実感出来ます。
プリンを食べてその味覚の快楽から、「今のは夢じゃない」と確信する。
実に美味い…いや、巧い演出です。
その後の調子に乗った真琴の一連は腹を抱えて大笑い。
しかし夕日に大笑いする真琴の側で、少年の沢飛びは跳ねていませんでした。
そんな中、占いとは言え「今日しかない」日に告白する女の子や、どれみにもあった二叉分岐の道などの様々な時間に対するモチーフ、モンタージュが挟み込まれ。
そして何気なく班を交代した高瀬から、ゆっくりとですが確実に、時は別の方向に動き出し、真琴はその場しのぎのタイムリープではどうにもならない事だらけだ、という現実を叩き付けられます。
SFなどでこのテーマに直面すると、運命は絶対に変えられない、という不文律に縛られてしまいます。実際SF的に考えればその通りですし、時は二度と戻らない、というテーマはある意味道徳的にも犯しがたい部分であり、保守的とも言えます。
しかしこの作品ではそれを十二分に踏まえた上で、「あきらめるな、チャンスはどこかにある。それを掴め」という前向きなメッセージが加えられています。
これはご都合主義に受け取られてしまう恐れもあり、とても勇気のいる決断だったと思います。
この作品がテレビで、しかもこんなゴールデンタイムに放映出来たというのは、非常に大きな意味があるでしょう。
本当に、モノを創る仕事というのは素晴らしい事です。
時をかける少女
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