精霊の守り人 第１０話「土と英雄」

　この手のお話ですと、世間知らずの皇子様に町っ子が「そんな事もしらねえのか」という展開にさせ、庶民の溜飲を下げる系のお話になる事が多いのですが、いやいや、逆を突いてきました。

　冒頭でバルサが言った「あの子は頭が良すぎる」という台詞を、後半の博打で見事に裏付け、更にチャグムの肝の据わり具合までビシッと伝えて来てくれた演出力は素晴らしい。

　また、トーヤが賭博に負けた時、チャグムは「負けて良かったんだよ」とだけ言い、彼らもまた商売なのだから、とそれ以上顔を突っ込む事はしませんでした。
　しかしチャグムは、トーヤが自分の金が無くなった事を悔やんでいるのではなく、他の皆がこれから金を巻き上げられる事に心を痛めていた事に気付きます。

「止めよう…！」

　この辺り、チャグムの心理的な動きが上手い。
　こいつは国を治めるのが天職なんだ、と感じさせてくれる描写。

　宮廷内であの幼いチャグムが、あれだけの人望を集めていた理由が見えた一話でもありました。