かみちゃまかりん 第１話「花鈴ちゃんのふしぎな指輪だし―」

　演出力だけでグイグイ引っ張ってくれます。

　監督の安濃高志さんは極めて自然体の、どちらかと言えば実写寄りの演出を得意としている人なので、この手のアニメではどうなのか少しだけ心配していましたが、いやもう全然オッケー。

　冒頭バトルでの三人組が階段を飛び上がるカットでの作画省略のテクニックから始まり、シリアスシーンからコミカルシーンへの気持ちの良いコロガシ、ロングでの心象風景、アップカットの激しい切り替えによる小気味よさ。

　走っている時に自分の身体の変化に気付くシーンも、簡単にすまそうと思えば台詞だけでやっちゃう所を、激しく移り変わる雲や地面の影など背景で語らせ、音響効果も含めて、身体だけでなく「心」も変わってきている、という見せ方は素晴らしい。

　夜、快晴、雨…と大道具の使い方もソツがありませんし、ベッドに横になるシーンや和音と姫香が去るのを見送るシーンで、十分な「間」を取る辺り、昨今のアニメに失われた実写系の演出です。

　ただ、１話目だというのにかなり心許ない作画と、この演出力がどこまで持つのか、そしてストーリーの方向性が評価の分かれ目となるでしょう。

　是非頑張って欲しい、期待の視聴決定。