がくえんゆーとぴあ まなびストレート！ 第３話「月曜日じゃ遅すぎる」

　生徒の中で角沢の頭身だけが不自然に高いのは、逆に言えば学美達が不自然にチンチクリンなのは、「大人」と「子供」の対比を視覚的に表したものかも。
　実際、学校の先生達も普通の頭身してますしね。

　無難な提案しかしてこない生徒達や、懇親会での楽しむ事を忘れた他校生徒会役員達に、閉塞感と諦めを感じている角沢。

　彼女のスタンスも、聖桜の先生達と同じ。
　大人なんでしょう。

　角沢はドッジボール大会を、各校同士における横の繋がりを持たせてこの閉塞感を解きほぐそうという「算段」の基に、学美が企画したものと捉え、自分と同じ「大人」であるとの認識を持って学美に接触を図ったのですが、当の学美はその説明をされている時、ふにゃふにゃテレてるだけで話なんか聞いちゃいねえ（笑）。

　しかし懇親会では学美のストレートも空回り。角沢に助け船を差し伸べられて何とかその場は乗り切ったものの、学美は「わくわくできらきら」な学園を創る事に対して不安を抱える事になります。

　気合いを入れてカラ元気を出したラーメン屋からの帰り道。
　「さよならー」と挨拶をしてみんなに背を向けるほんの一瞬、数コマだけ、学美の顔から笑顔が消えています。
　この殆ど解らない様な細かい演技で、彼女の落ち込み具合や、みんなに気を遣わせてはいけない、という気遣いが見られ。

　そこで角沢にヒントを貰おうとみんなを引き連れ愛光学園祭のパンフを見るシーン。
　その愛光の学園祭がどんなに素晴らしいものかを、「ほぉ〜」「すっげぇ〜」だけで済ませるシナリオの潔さ。それは美術スタッフが「ほぉ〜」と溜息が出るようなパンフレットを作り込んでくれる筈、と信頼しているからに他なりません。
　スタッフを信頼してなかったら間違いなくここで角沢に、学園祭についてタラタラくどい演説をさせてしまった事でしょう。

　しかしその学美が、そしてそこにいた聖桜のみんなが自信を無くし、「出来ないとは思うけど愛光さんのように…」、とハナから自分を超える事すら考えていない光香の言葉にトドメをさされ、失望する角沢。

　帰ろうとする聖桜のみんなに「ねえ待って」と言いかけますが、結局「何でもないわ」と諦めてしまう。
　学美達に希望を見ていた彼女もまた、聖桜の教師達と同じく、この子達じゃ駄目だったか、と諦めてしまう。

　諦める大人。

　学美も答えが見つからずに考え込んでいましたが…さあここからが今回の見所。

　真新しいノートを出し、表紙に「学園祭アイデアノート」と書きます。
　何かが足りない…。そこで彼女のキャッチフレーズである「きらきらわくわく」と書き加え、更にお友達の似顔絵も描きます。
　どんどん自分を取り戻して来た学美。引き出しを開けると、そこには「楽しいモノ」がギッシリ詰まっており、そこからセンスもへったくれも無くベタベタと「楽しいモノ」を貼り付ける。

　そこで学美は気づきます。

　愛光を、角沢を超える必要なんて無いんだ。
　角沢も自分を超えて欲しいなんて考えていない。

　真新しいノートはどれも同じで無個性。
　だけど「きらきらわくわく」や「お友達」や「楽しいモノ」をいっぱい詰め込めば、自分達だけの、世界にたった一つのノートになる。

　愛光ではない、聖桜を見せれば良いんだ、と。

　…まあ、その後の板野サーカスまで飛び出す過剰演出はご愛敬という事で（笑）。

　やはり凄いのは先の、学美が悟りを開くまでの描写ですね。
　台詞一切無し。
　勇気要りますよ、こーゆーのは。

　ただ、いきなり３話から学園祭なんてビッグなイベント持ってきて大丈夫かいな、と。
　まだ他の、特に桃葉辺りのキャラもしっかり立っていないのに。

　少しだけ心配はありますが、まあスタッフを信頼する事にします。