
何とも手堅い、プロの仕事。傑作です。
予告にて確信犯的に笹原と高坂に喋らせていますが、やはり千尋、時乃、律子の関係がメインでしょう。それはOPにてタイトルが出る前に、主人公の千尋ではなく、まず時乃と律子を対峙させている辺りではっきりと解ります。
そしてその時乃の立ち位置が恐ろしく不安定で、彼女の屈託のない笑顔を見ているだけで、見ているこちらがハラハラして来ます。
生まれつき運が良く、いつでもマイペースな時乃。同じくOPにて千尋の肩で居眠りをする「独り占め」。ヒヨコを先陣切って追うシーンでは、律子が転んでも気がつきません。
明らかに「自覚のない悪役」として設定されています。
しかし、今回のようにその偏見の無いまっすぐな感性にて律子に接するその姿は、今現在に於いて「りっちゃん」のただ一人の理解者として千尋と律子の距離を縮める役を果たし、そしてその結果二人が傘を差したままどこかに行ってしまうのでは、という不安に叫ぶ時乃。
スタッフはここまで描くつもりなのだ、という覚悟がはっきりと見られた一話でした。