主人公をアクティブに動かさなければお話が進まない、というのは解るのですが、彼は対人恐怖症の引き籠もりな訳で。
例えば外部に対して恐怖心を持っているのなら、まず真っ先にする事は携帯の電源を切り電話のコードを抜く事な筈。
うっかりデマカセを言ってしまったばかりにとんでもない事態に、という展開にしたかったのでしょうが、そこに至るまでの過程にリアリティが無いと物語自体に説得力が出ません。
真っ向から引き籠もりを描こうとすればとてつもなく暗い話になってしまうのでドタバタを交えて、という手を取っているのでしょうが、果たして成功しているのかどうか…。
この作品におけるひきこもり描写が正確なのか、適切なのかは、正直僕には判断がつきません。したがって、説得力があるのかもわからないままに見ているんですが…ひきこもりと一口にいっても、いろいろとレベルとか種類とかがあるんだろうな、と一応思っています。
他者との接触に恐怖心を抱きつつも、同時に他者との繋がりを求めるという、矛盾した性向も、ひきこもりと呼ばれる人たちの中にはあるみたいです。
この作品の主人公は、他者や外部に対して興味がないわけではないし、期待している部分もあるのだけれど、裏切られることに非常に臆病になっているんだろうなと、僕は解釈しています。
実際、彼はできることならひきこもりを脱却したいと思っているわけですし…。
>他者との接触に恐怖心を抱きつつも、同時に他者との繋がりを求めるという、矛盾した性向も、ひきこもりと呼ばれる人たちの中にはあるみたいです。
そうですね。この辺は私がそうなので良く解るのですが(笑)ネット依存症という、何かに繋がっていないと不安を感じる、という部分に通じるものもあるかと思います。
携帯や携帯メールを手放せない女の子達も、やはりこの様な感覚でしょう。
>裏切られることに非常に臆病になっているんだろうなと、僕は解釈しています。
>実際、彼はできることならひきこもりを脱却したいと思っているわけですし…。
この辺りは隣の山崎に強く出ている気がします。
彼の場合は恐怖して引き籠もるのではなく、裏切りに対してキレるタイプなのですが。
主人公の引き籠もりの元凶が恐怖だというのは解るのですが、それが人間の「何」に対してなのかが見えにくいのが、ちょっと難点かなと思う次第です。
まあ、人間の心ですから、そう簡単に解るものではないでしょうが…。