と、言うより意識して派手さを押さえ込んでいます。
しかし、コロコロと心を転がされる本当に見事な演出。
竹内から送られた写メを見せられたシーンや、元恋人が死んだと聞かされたシーンなど、気張ってしまうとガガーン!と極端なアングルを持ってきたり、BGMや効果音で盛り上げてしまう所なのですが、スルリと、しかし確実に心の中を指で触られた様な感触を残してくれます。
この様な「自然な」演出は、余程自分の腕に自信がなければ出来ません。
メイン声優に所謂「声優」を持ってこなかった理由もそこでしょう。ある程度慣れた役者さんになると、「自然な演技」というものが出来なくなってしまいます。
前に某超ベテラン実力派俳優さんが、素人演劇をする、というシチュエーションのドラマを観た事があるのですが、腹から声を出し指先まで神経が行き届いた「素人演技」をしてしまっておりました。
それが良い悪いでは無く、プロには素人の感覚が解らないのです。
このアニメにしっかりとした「声優」を使ったら、あのキャラクター達はベタベタになり、凡作になってしまう可能性もあったでしょう。
静かな、そして確かに心に残るアニメ。
名作です。