涼宮ハルヒの憂鬱 第１２話「ライブアライブ」

2006-06-19の感想再上げ

　今回の見所は何と言っても演奏シーン。

　欧米のアニメと違い、日本では作画に合わせて音を当てるシステムが殆どなので、ＯＰやＥＤアニメーションなどの特殊な例を除けば、音楽を演奏するシーンというのは様々な手法で誤魔化されてきました。

　いや、さすがは京都アニメーション。頑張りましたね。

　口パクやギターの運指がシンクロしていたり、とかの作り込みの部分は勿論ですが、演奏時の身体の流れ（動き）が恐ろしいまでに自然。
　恐らくモーションキャプチャを使っているものと思われますが、これが本気でゼロから作画していた、とか言われたら腰抜かしますよ。
　あのBECKでさえ苦心していた演奏シーン。ここまでバンドというものを、連続物のテレビアニメで再現出来ていた例というのは、無かった様な気がします。

　ベースはピックで弾く人と指で弾く人とふた通りいるのですが、このバンドのベースは、１曲目は指、２曲目はピックで弾いています。ピックと指を使い分けてベースを弾く人というのはわりと珍しく、この辺こだわりが嬉しい。
　特に指で弾いた場合、当然弦を下に押し弾くのではなく、指に引っかけて上に引き上げるので、音を鳴らした瞬間に肩が上がるアクションになり、その辺も正確。

　またドラムのスネアを裏打ちしている所などもしっかり描写しており、長門のギターも、ハルヒの様にエキサイトするタイプではなく、落ち着いて正確に弾いており、演奏にてキャラクターの性格を見せてくれる演出も楽しい。

　恐るべし、京都アニメーション。

　ただ、ラストの感謝される事に慣れてない云々のモノローグは、無かった方が良かったかと。
　この作品をを楽しめる視聴者なら、ハルヒの戸惑いの理由も前後の行動で解るはずで、シナリオは親切のつもりで入れたのでしょうが、言葉で説明して興を削ぐ事は無かったのでは。

　しかし、鶴屋さんのめがっさにょろにょろも聞けたし、満足の１話でした。

Comments

どうも初めまして
海優と申します。

最後の部分のモノローグですが原作でも書かれていましたし、ここでこのモノローグが入るのは理由の説明というのもあるかもしれませんが、どちらかというとキョンがハルヒのことをよく理解しているというのを印象付けるために入れたのだと思われます。

Posted by 海優 at 2006年06月23日 02:51

はじめまして海優さん、えみりおんです。

実は私もあれから何度か見直して、この台詞はあった方が引き締まるかな、と思うようになりました。
どうも私は、「余計な台詞は入れるな」系の人間で、何でもかんでもという感覚になっていたかもしれません。
敢えて入れる事で、ラストを絞める、という意味合いもありますね。

ご意見ありがとうございました。

Posted by えみりおん at 2006年06月23日 12:22

ミクルの冒険EP00 の感想を読み漁っていて辿りつきました。

12話の演奏シーンは良かったですね。
汗で髪が顔に張り付くところ、そういう描き込みがスゴイ。
あと、ステージ上のアップ映像の連続の後に、
ちらりと入る客席後方からの俯瞰シーンが映像的に締まりを与えていた。

ギター、ベース、ドラムの演奏描写は、
モーションキャプチャして３Ｄ−ＣＧを動画にしたのではなく、
実際のスタジオ演奏をビデオ撮影し、コマを手作業でトレースして
動画に起こしたように見えます。

Posted by 通りすがり at 2006年06月24日 21:46

　こんにちは、えみりおんです。

>モーションキャプチャして３Ｄ−ＣＧを動画にしたのではなく、
>実際のスタジオ演奏をビデオ撮影し、コマを手作業でトレースして
>動画に起こしたように見えます。

　そうですね。
実は私もそう思っていたんですが、ただでさえ言いたいこと山ほどある感想だったので、簡単に「モーションキャプチャ」という単語で済ませてしまいました。

　言い訳がましいですね（笑）。

　バンドの部分だけに感想が集中してしまったので、ついでなんですが、ステージに上がったハルヒの挙動がいつも通り堂々としていないどころか、どこかおどおどしていた点が、実に興味深かったですね。

　いつもは自分の為に自分中心に動いていたハルヒが、恐らく初めて人の為に動いたため、どう振る舞って良いか解らず、相当に戸惑っていたのでしょう。

　見直す度に新しい発見が生まれるアニメですよね。

Posted by えみりおん at 2006年06月25日 23:51

> 言い訳がましいですね（笑）。
こちらこそ、重箱の隅をつつくような指摘で申し訳ないです。

ステージ上のハルヒの態度については、別の感想を持ちました。
　一時間の練習では演奏を完全にできず、アレンジを簡単にし、さらに長門の手助けまで必要としたことは、ハルヒにとって不本意極まりないことであったに違いありません。ここまでして、もしも本番で失敗したら、彼女のプライドはズタズタです。聴衆に背中をむけて無言で立つ姿は、自信の無さと不安の表れと感じました。
　人の為に動いたとか、そんなことを考える余裕はなく、自分のことでいっぱいいっぱいです。いつもなら傍らにキョンが居て、彼女は心の安定を取り戻すのですが、そこには長門が居るのみです。

　一曲終えたあとの大歓声に不安は払底したものの、自分の演奏は簡易バージョンであり、ホンモノではないことが、鋭く心に突き刺さったに違いありません。簡易版が聴衆にウケてしまっているだけに、もしホンモノの演奏ができていれば…ハルヒの性格からして自分で自分が許せないでしょう（後日、木の下でのキョン対話まで、ハルヒはそのことをずっとひきずっています。）
　日頃の行いからは考えられないようなステージトークの謙虚さは、自分に対する言い訳から出たものだと感じました。

　後日の１１話「射手座の日」では、いつものハルヒに戻っていますし、直前の１話「ミクルの冒険」からハルヒの人間性は揺らいでいません（時系列順に見直してみると面白いです。）
　教室で代役参加のいきさつをしおらしく語るシーンがありますが、騙されちゃいけません。ホンモノを演奏できなかった後悔の念が、ああいう言い方をさせているだけです。曰く、残りのメンバーが可哀想、この日のために必死で練習してきた、だから代役を名乗り出た…言い訳じみています。本当に言いたいことは、「ホンモノの演奏ができなくても、ENOZの助けになれば上出来なんだからね、わかった？キョン」てなわけです。実際のところは、キョンが推察したように、腕まくりして出て行ったのでしょう。人助けとか関係なく、退屈しのぎに、面白そうだから。
だからこそ、ENOZの「感謝の言葉」に落ち着かない（後ろめたい）気分になったのです。

多くのブログで、１２話でハルヒが人間的に成長したとする解釈を見ますが、それには異論があると思っていたので、この場を借りて長々と書いてしまいました。
では、失礼します。

Posted by 通りすがり at 2006年06月26日 20:26

　こんにちは、えみりおんです。
　なるほど、その様な見方も出来ますね。

　まあ「射手座の日」への繋がりとして見れば、人間そんなにいきなり変われるものでも無いですし、成長というのは様々な小さな積み重ねで築かれて行くものですし。

　今回の件でガラリとハルヒが変わった、という訳では無いでしょうが、多くのフラグの内の一つにはなったのではないでしょうか。

Posted by えみりおん at 2006年06月27日 03:28

懐かしい記事が上がってますね。
この頃は「通りすがり」としてコメントを書いていました。文章が無駄に長くなるのは、今でも直っていないなぁ、と反省しつつコメント。

Posted by ショートカット萌えなんだ at 2009年09月30日 21:58

ショートカット萌えなんだ、さんこんにちは。

「通りすがり」さんとかってハンドルは「名無し」とかと同じく結構色々な方が使ってらっしゃるので、誰にも解るハンドルは助かりましたw

　今後ともよろしくお願いいたします。

Posted by えみりおん at 2009年10月01日 18:24