ドアを開けた家の中が真っ暗、というショットが普通の家で無い事を暗示していて、続く「みちる」でするりと暗部に落とされる感覚がゾクリとします。
ただ、4話でもそうだったのですが、安易に目を隠す演出は安っぽくなるのでやめた方が良いのでは…。
また全体的に真正面、真横からのショットが多く単調になっており、カットやシーン繋ぎもぎくしゃくしています。
観鈴の精神が高ぶるシーンには、テレビを観ている時点からもう少し前兆、予兆をさりげなく入れて欲しかったし、トランプを始めてから発作を起こすまでの過程も、もう少し尺が欲しかったか。
実は私、パニック障害の発作持ちだったので解るんですが、「来るな」と思ってから「やばい」と感じ、「どうしようもない」となってからドン、と来るもの。
この辺の感情的な部分は、演出さんより役者さんの方が理解出来ると思うのですが、いかんせんアニメでは尺が決まってしまっています。
取り乱す作画は良かっただけに、ちょっと残念です。
みちるが往人の頬をひっぱるシーンで使ったスローの残像処理は、3話のラストで佳乃が往人の首を絞めたシーンと同じ手法なので、観ている方はそこに意味を見いだしてしまいそうになるんですが、実際はただふざけていただけ。
この辺りで、シリーズディレクターが各話コンテにしっかり目を通しているかどうかが解ってしまいます。
うーん、うーん。
いえ、決して低いレベルでは無いんですが、3話までが見事すぎただけに色々と…。
とは言え、まあ当然視聴継続。
その危さが観鈴の泣き出す姿に表出され、何かしてやりたい気分で一杯になってしまう。
心動かされ困りました。萌えとかの領域でなくて哀憐の情感なんだろけど、
ゲームでこのままだったら、このやりきれない不条理に狂おしい気分になるでしょね。
この作品における、父性の不在について何か書けそうな気がするけど、
長くなりそうなのでパス。
背景の雲、コンピュータとは言え、いたる所で丁寧に動かしていますね。
だからこそ、そこを埋めようと必死になり、ある者は距離を置き、ある者は代役となろうとし、またある者は逃避する。
そこから生まれる個性は、そう呼ぶには悲しい。
全てが家族に起因する、という訳ではありませんが、ゲームであるにしろアニメであるにしろ、余りに「家族」をないがしろにした設定が多すぎです。
今週の MONSTER での孤児達を思い出してしまいました。