そこを舞台にした、今までありそうで無かった純日本風ライダー。
まず注目すべきは、主人公はヒーローである響鬼ではなく、響鬼に魅せられた明日夢だという点。彼はブラスバンドに夢中で、親戚の宴会に辟易し、山の息吹に感動する、平凡な少年。
そして、この作品のテーマはOPよりもEDではっきりと打ち出されています。
ゆっくりと歩く男の背中を長回しで撮り、最後に響を振り向かせ、次のカットで憧れに満ちた明日夢の笑顔を撮す。
この振り向く響と微笑む明日夢の表情が最高で、ここに全てが集約されています。
BGMや効果音がやたら大きく、台詞が非常に小さいが、これは当然、カット割りとサウンドによって物語を伝えようと意図した結果だろう。実際今回は、聞き逃すとドラマに支障が出るような台詞は殆ど無く、説明台詞よりも映像と音の力で物語を造り上げて行こうという冒険心が打ち出されていて頼もしい。
事実、親戚の中でくさっていた明日夢が、お姉さんに連れられて山へ行くシーンなどは、カット割りだけでは絶対にあそこまでスムーズに繋げられません。
サウンド前提の演出プランです。
今までの特撮物では、ビルの上でジャンプして着地すると造成地だったりなどの、ある種ちょっと後ろ向きなお約束があったのですが、リズムに乗ったサウンドと共にその手のカット割りをされると、非常にエキサイティングな効果が現れる事に驚きました。
「手の鳴る方へ」と鬼を挑発する怪童子と妖姫。
不安定で撮影に手間もかかる木の上を主体としたアクションには目を見張るものがありましたが、さすがに物理的なカメラ位置の問題で窮屈な絵面になってしまったのは残念。
そしてラストシーン。
仮面ライダーが火を噴いたよ
これはさすがにのけぞりました。
まあそれは置いといて、非常に意欲的な作品。
ただ問題は、これだけ手間のかかる作りを、今後も続けられるかどうかですね。
期待して視聴継続。