ARIA The NATURAL 第７話「その 猫たちの王国へ…」

　冒頭、アリア社長の頭の上に乗せた夏服だけがポクポク歩いてくるシーン、そしてＯＰ曲が始まり丸窓に、下から着替えの灯里がフレームインしてくるカットを見て、ああ、これはサトジュンだな、と思った。

　別にサトジュンのコンテが特別個性的、という訳ではなく、非常に丁寧なだけ。そんな演出が最近ごっそり抜け落ちていたので、やっと来てくれたな、という感じでした。

　お話の方は、ARIAでは繰り返しテーマとして使われている、「異界への扉」。

　これは高度な演出力を要求されるテーマでして、現実と異界との狭間という、カミソリの刃の様な境界線を、佐藤順一監督は見事に描ききっております。

　人が踏み入ってはならない異界は、全てを捨ててでも見たい世界でもあり、しかし入ったら二度と戻れない世界でもあり、そんな現実と異界スレスレの場所を、灯里達は一瞬だけ垣間見ます。

　ゴンドラの上、不確かな足下。
　ちょっと気を抜くとそのまま冷たい水の底に沈んでしまうような。

　しかし、サトジュンの回ですらまだまだ作画の力不足が見られ、こればっかりはもう諦めるしかないのでしょうか…。