名作と言われているものでも見ていない作品が山とあり、とても総論なんて書けないな、と断念。
なので今回は、今期特に目立った深夜UHF局原作付き萌えアニメについて少しお話したいと思います。
その構造的には、テレ東チェックにより離れた制作側が表現制限のほぼ無いUHF局にて、男性オタク向けに萌えや性表現を売りにした作品を怒濤のごとく出したというもの。
趣味になら散財を惜しまないオタク向けが故、マーチャンダイジングよりもひたすらDVDの販売に焦点を合わせ、しかも1クール制作体制を基本として商品の回転を重視し、これによりDVD売り上げ業績を上げて行きました。
本放送はDVDの宣伝という位置づけにした訳です。
しかし当然弊害もあるわけで、というか視聴者や業界にとっては殆どが害でしかなかったのですが、まずその殆どが原作付き、しかも連載途中で原作ファンがまだ生きているマンガの青田刈り合戦となりました。
当然の事ながら、終了していない話を1クールで終わらせる事になるので、尻切れトンボとなるのが殆どで、別解釈にして終了させた作品もありますが、どうしても苦し紛れが目立ちました。
また、アニメが終わればその作品自体も終了したものと認識され、原作を取り巻くモチベーションまで落ちて行くという悪循環。こうやってどんどん様々な作品が「消費」されて行き、業界全体がやせ細って行きます。
この状況を断ち切るには、我々視聴者がつまらないものをつまらないとしっかり認識し、シャレや酔狂でDVDやグッズを買わない、という事が必要です。
よく見られるのは、酷い酷いと良いながら、でもダレダレちゃん萌えだからつい買っちゃった、えへへ、俺ってダメな奴、という構図。
間違っても良質の作品を観られるチャンスを、自分の手で潰さない事です。
萌えアニメというのは基本的に快楽原則に沿って作られます。誰それちゃんの変身シーンがエッチだった、だれ子ちゃんのこのシーンが可愛かった、シーンが、シーンが。
木を見て森を見ず。シーンだけ見て作品を観ない。
アニメというのは曲がりなりにも、映画と同じく総合芸術の筈です。芸術と言う言葉を使うと顔をしかめる人もいるかも知れませんが、人の心を動かし、感動させてくれるものは、全て芸術と言って良いと思います。
マンガでも、歌謡曲でも、それこそ子供のお遊戯発表会でも。
制作に携わっている方々はその誇りを持ち、我々視聴者は良い作品を願う。
その気持ちを持ち続けるだけでも、例え深夜UHF局原作付き萌えアニメでも、良作は必ず増えると信じています。
【アニメ雑感の最新記事】
吟味するという事をやってる暇がないのでしょう。
選択能力が要求されるものの、その眼を育てる様々な経験も
わざわざ時間を作らないと出来ない事が多い。
でも、是非そうした機会を自分で作って欲しい。
アニメに耽溺する前に、それとともに古今東西の文学であったり美術であったり、
音楽であったり、哲学であったり、科学であったり
スポーツであったり、ボランティアであったり、旅であったり
様々な世界に身を投じることが大切だと思います。
ケータイメールもいいですけど、人生の時間は無限ではありませんぞ。
思うに、一番大きな原因は、バラエティ番組とかで文字を出して笑いどころを教える様になってからじゃないかと思います。
ただ楽しむだけがコンセプトのバラエティ番組でさえ「はい、ここが笑うところですよ」と教えてもらわなければ、笑う事が出来なくなったというのは恐ろしい事で、脳に電極を埋め込まれて刺激を与えられてやっと笑う、という究極の受け身状態にさらされているという事に、視聴者は気づかなければなりません。
こんな状態に慣れてしまえば、作品を読み取るなんて面倒な事をいちいちする筈がありません。
あ、パンチラだ。変身シーンで裸になった。これで終わってしまいます。
私も萌えアニメとか可愛い女の子とか好きなんで、だからこそ、踊る前には足下をしっかり見る癖を付けたいと思っております。
それをしなくなると、作り手受け手が退化スパイラルに落ち込んで行きますよね。
いつの時代にも佳作と駄作は並行して存在していますが、
駄作は駄作として認識されるべきで、やはり祭りたてられるというのはお門違いかと。
「愛すべき駄作」という観念の欠如も寂しいもんですな。
自分の好きなものは自分にとって全部傑作になってしまうって、子供丸出しではないですか。
意見の相違から生まれる止揚を御存知ない。
否定されると、自分の存在が全否定されているかの様なアレルギー症状を示す。
結果仲良し倶楽部になって、思考停止に陥る。
エピクロスの広き門に入ってゆく、という感じですかね。
それだけで語ろうとするから、アウフヘーベンまでたどり着かないんでしょう。
朝生なんかは、潰されたら自分の職業を失うも同然なので、西から昇ったお日様が東に沈んでも絶対に押し通す。
あの様子があまりに攻撃的で過激なので、腰が引けてしまう。
アレ見て育っちゃうと、こうなっちゃうのかもね。