よみがえる空 第９話「少年の旅路 後編」

　切り離しから地上に降りるまでの演出的な緊張感は、かなりのもの。
　その分、ドラマの大雑把さが残念でした。

　例えば小道具。おしっこがしたいという子供に義母が差し出したのはウェットティッシュのボトル。これでは便利なものがあって良かった、で終わってしまいます。これを、義母が大切にしていた誰かの形見の水筒であるとか、掛け替えのない物にすれば、説得力が出たのではないでしょうか。まあそうした場合、水筒におしっこってのも何なので小道具なりシチュなりを変えた方が良いとは思いますが。
　また子供が暴れ出した時に出した伏線のミニカーも、大きな思いのこもった小道具かと言われれば、首を傾げざるをえません。ふてくされて捨てたミニカーを、これをお父さんだと思いなさい、と渡されても、どうかなあ、と。

　ＤＱＮ兄ちゃんも、大いに場を荒らして盛り上げてくれるかと思ったら、がなり立てて周囲に嫌な雰囲気を撒き散らした程度で、後はＤＱＮ姉ちゃんにピシャリと言われて大人しくなってしまい、何のために出てきたやら。
　老夫婦も実は何か持病をもってたりとか…せずにサクサク終わってしまってこれもまた…。

　そして今回の主役の少年はと言えば、再婚家族と絡み、内田の仕事を手伝ううちに…とやりたかったのでしょうが、少年が元より持っていた葛藤と今回の事故との関連性に薄く、何となく成長してしまった感が。

　やりたい事は解るんです。ただ、もう少し細やかな部分への配慮が欲しかった。
　地に足の付いたリアリティのある強いドラマを見せてきてくれたこのアニメですが、この前後編はちょっと辛いものがあったか。

　次回に期待します。