かなり昔にテレビでちょっとだけみた記憶があり、カルト的な名作との噂もあったので、改めて観てみました。
あらすじ:
もはや自然を必要としなくなった地球は、自然をドームに入れて土星近辺で保存していた。しかしそれにも破壊命令が。
自然を愛するフリーマンは命令を無視し、同僚を殺害の上、三体のロボットと共に宇宙へとサイレント・ランニング(潜水艦が所在をつかまれぬよう音を出さないで行動する戦術)するのであった。
シナリオ的、SF的なツッコミ所は満載。
貧困も病気も無くなったという地球の生活は、対比として見せたかったと思われますが、恐らく予算不足だったのでしょう、地球側の描写はゼロ。
宇宙船の中だけでドラマが展開しているので、自然に対する切羽詰まった感覚が殆ど伝わって来ませんでした。
自然を放棄してしまった地球人のエゴもさることながら、自然を守ろうと同僚を殺し、最後にはデューイ(汎用ロボット)に自然を托して自爆してしまう主人公。
最初の内は良い奴かと思っていた主人公でしたが、やがて手段と目的を混同して暴走する彼もまた、エゴイスト。
シナリオ的な粗が色々と見えるので、狙ってそうしたのか、作っている内にこうなってしまったのかは解りません。
しかし、一視聴者的な解釈で観ると、自然を放棄した地球人のエゴと、自然を護ろうとするあまり何も見えなくなってしまった人のエゴ。
それらに翻弄された自然ドームとデューイは、やっと全てのエゴから解放された、という解釈も出来ます。
自然もデューイも物言えぬイノセントな存在。
彼らが深淵の宇宙へと消えて行くラストシーンはとても美しかった。
タグ:SF映画
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