が、なんか気持ち悪いくらい絶賛の声しか聞こえてこない「破」の噂を聞くに、一応オタクとしてチェックしておかなければなあ、と思い、予習としてこの「序」を見ました。
基本的な筋は全くと言って良い程変わっていない様ですが、なんか感覚的に感じたのは、当時作品自体に重くのし掛かっていた極端な負へのベクトルが、前向きに修正されていた様に感じました。
冒頭の「逃げちゃダメだ」のシーンは若干短くなっていた様に感じられましたし、特に当時感じられた脅迫観念的なニュアンスから、自分を奮い立たせるような感じを受け。
そしてラストのヤシマ作戦で一撃目を外してからの展開は、まだ周囲に支えられてはいるものの明らかにシンジが自分の意志で前に進もうとする、ヒーロー誕生を予感させる方向性でした。
庵野監督は紛れもない天才です。
しかし、天才というのは我ら凡人が思っている程うらやましいものでもなく、むしろ理解されない苦しみにもがいていたと思われます。
そして我ら持たざる者達は、当時パソコン通信や初期のインターネットで繋がる事により、天才に対して別のアプローチで対抗出来る事を知りました。
視聴者は繋がりによる集合意識の大きさを楯に監督に挑み、監督は監督でよせばいいのに更にそれに対して挑発する形を取り。
天才というのは頭の回転が速いだけで、別に精神が強い訳ではありません。特に庵野監督はナイーブな方だった様で、長いリハビリが必要だったと思います。
今思えば我々も、ネット時代初期の仮想的万能感から思い上がり、メチャクチャやってしまいました。
大いに反省したいところです。
やがて監督はアニメのキューティハニー辺りでエンターテイメントに徹した作りを見せてくれて、芸術からエンターテナーへと少しずつ移行してるのかな、とは感じました。
そして今回の「序」を見た時に感じた前向きな感覚と、昔は監督の天敵だったネット上で「破」の絶賛を見るに、ある程度の時間と距離を置いた故、何か良い方向に回ったのでは、という予感がします。
本日1日、映画の日に「破」を見に行こうと思います。
感想はまた後で。
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