とらドラ！ 第８話「だれのため」

　やりたいシチュエーションを常に優先し、それをテーマやお話の流れに無理があっても強引にねじ込んでくるいつもの構成はいただけませんが、演出と作画に殆ど乱れがみられず、それだけでも十分な見応え。

　市民プールで大河が癇癪をおこした時のダイナミックなカメラワークであるとか、傘を差したまま無視して通り過ぎようとする大河の目線から、スッと横からお弁当箱が入ってくる辺りの、心の隙間を突く巧さ。

　竜児が大河のほっぺたにペチンとゲンコツを当てるカットも印象的。
　女の子の顔にゲンコツとは言え手を触れるというのは、余程親密な関係でないと出来ません。

　それは大河にとって次第に恋愛対象として気になり始めていたからこそ自然に受け入れられたのでしょうが、竜児にとっては単なる母性本能で子供を元気づけているだけ。

　そのギャップが市民プールでの癇癪に繋がる訳で。

　気になったのは、みのりんが大河と竜児の仲の事を語るシーンで、目を隠していた事。

　目を隠すという演出は、紛れもなく本心を隠すという意味であり、みのりんが実は竜児に対して気がある、という描写。

　実はこの作品、キャラクターの言動がチグハグでかなり混乱するのですが、演出の方でこの様に多岐にわたるフォローが入っており、「え、そうだったの！？」というシーンが結構あり、ありがたいやらまごつくやら。

　シナリオ、構成がもう少し頑張ってくれれば傑作になるかと思います。